即席祝賀会場

久しぶりに奥様と外で飲みました。
入籍する前に連れて行ってもらって以来、ずっと惚れ込んでいるお店で、
お酒がおいしいのは勿論、お料理が見た目も味もとても美味しく、
季節によってお品書きがさり気なく変わるので、何度行っても飽きの来ない素敵な場所です。




姉妹で切り盛りなさっているそのお店ですが、昨夜訪れたときには妹さんが不在でした。
お話を伺うと、その日神社で開催されていた「富士の山かみ灯りコンテスト」に出品者として出席されているのだとか。
カウンターにいらしたご常連の方たちは、和紙を使った灯りが出来上がってゆく過程を逐一ご覧になっているらしく、
コンテストにかける熱意はご本人に勝るとも劣らない気迫で、お話を伺っているだけで幸せな気持ちになりました。


そんな雰囲気のなか、会場にいるご本人からお姉様に電話が入りました。
それまで、「入選したらいいねえ」などと穏やかな表情で微笑んでいらっしゃいましたが、
妹さんからの報告を聞いた途端、「1位だって1位!」と大歓声。常連の方たちも私たちも大喜びでした。


そこから店内が慌ただしくなります。急遽祝賀会を開くため、店内にあった和紙を細かく千切って紙吹雪を作成すると、
それをカウンターテーブルの下に各自隠し持ち、ご本人の凱旋をワクワクしながら待つのでした。
お姉様が「今夜はいくら散らかしても構わない」というお触れを出しました。


しばらくしてご本人がお見えになり、興奮覚めやらぬ喜びの声を伺ったあとで、
「おめでとー」の声と共に紙吹雪が盛大に店内に舞い上がりました。
料理やグラスの中に紙が入り込むのもご愛敬です。
乾杯用に特別なワインの封を開けてくださり、私たちもご相伴にあずかりました。
偶然その場に居合わせただけなのに、素晴らしい瞬間に立ち会うことができて本当によかったと思います。